●都会、挨拶、無言
故障したバイクを引っ張って交差点を渡り、しばらく行くと改装中の商店があり、道が狭くなっていた。向こうから30歳ぐらいの自転車に乗った女性が来て、同時におなじポイントにいたった。すれ違いは無理だ。数秒お互い止まったまま動かない。
私がバイクを後ずさりさせ、譲った。そのご婦人は、何もなかったかのごとく、無言で会釈もせず走り去った。
同じ日、地下鉄の電車に乗り込み、中に進んだ矢先、ドアーがしまる直前に20歳ぐらいの青年が、2、3人の乗客を突き飛ばす感じでホームへ降りていった。「あっすみません」もなければ「あっ降ります」の掛け声もなしで無言で走っていった。
所用を済ませ、地下鉄のエスカレーターの左側に立っていたところ、ショルダーバックの女性が私の横を通り過ぎざま、ショルダーバックの角がぶつかってきた。「あっ」という声にならない声を出すも、何の反応もなかった。
帰りの地下鉄の電車の中で、私が電車の揺れで隣の男性の靴を踏んでしまい、咄嗟に「すいません」と言った。が、相手は応えてはくれなかった。
人と人との関係をよくするには、コミュニケーションが大切といわれている時代。思いやりのある言葉、マナーのあるひとつの態度が人をうれしくもさせ不快にもさせるということを、まざまざと実感させられた一日であった。
(夏志虎)