●みんなお役に立ちたい
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毎週月曜日に替わる「こころの電話」で紹介したお話を紹介しています。
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みんなお役に立ちたい
私は月に二回、知的障害者の施設へ、体操の指導に行っています。その施設に、K君という二十五歳の男性がいます。
彼は、両足に麻痺があり、よく転ぶので、いつもヘルメットをかぶっています。ある日、K君の靴下を脱がせてみて驚きました。
足の裏がとても小さく、おまけに指が深く重なっているのです。転びやすいのも無理はありません。
私は、K君に裸足で体操をすることを提案しました。K君は、裸足で体操するのが気に入ったようで、私に親近感を覚えてくれたようでした。
彼は、体操の時間が終わると、すぐに私の近くへ来て、「タータ」と言います。これは、「靴下をはきなさい」という意味です。
次に、「パッパ」と言って、「スリッパをはきなさい」と私に指示するのです。
そして、私の鞄を持ち、手を引いて、三階から一階の玄関まで連れていってくれるのです。
もちろん私は、彼に手を引いてもらわなくても階段は下りられます。かえって彼を支えてあげなくてはならないのです。
施設の方も、「先生は、あなたが手を引かなくても一人で行けるのよ」と言われますが、彼は一向に聞きません。
私の介助をしてくれているのです。私も、K君の気持ちがありがたくて、一緒に玄関まで下りるのです。
K君の姿を通して、私は、人間は誰もひとしく、何らかの形でお役に立ちたいと、心の奥底で思っているのだと知りました。
人間の生き甲斐とは、人のためや何かのために役に立っていると感じられることではないでしょうか。
父親から、「お役に立つ人になれ」と言われて育った私。もっともっと人のお役に立たせていただきたいという思いを強くしたのです。