●ヘルパーさんのことば
ヘルパーさんのことば
「おむつ交換しますよ」
私がある病院に入院している友人のお見舞いに行ったときのこと、隣の患者さんのもとにヘルパーさんが入って来ました。その患者さんは脳梗塞を患い、体全体が不自由で、話をすることもままならない状態です。トイレにも行けず、思うように用を足せない患者さんに、「出るまで待っています。がんばってください」と声をかけています。しばらくすると、「ありがとうございました。またお願いします」と言って、病室を出ていきました。
カーテン越しに聞こえてきたその言葉に、私は耳を疑いました。患者さんのお世話をしたヘルパーさんが、患者さんにお礼を言ったのですから…。
このヘルパーさんの心の中に、「これだけしてやった。これだけ面倒をみてやった」という恩着せがましい心があれば、お礼などしようはずがありません。また、「何で私がこんな汚い仕事をしなければならないの」と不満を持ちながら仕事をしていたら、こんなに明るい言葉はかけられないでしょう。
金光教では、人間は神様にいのちを頂き生かされて生きているのであり、決して自分の力だけで生きているのではないと教えています。「自分の力でこれだけした、これだけしてやった」という考えですと、「あの人は、私がこれだけしているのにありがとうの一つもない」ということになり、せっかく良いことをしているにもかかわらず、相手を責める心になったり、腹を立てたりということになってしまいます。どんなことも自分の力ではなく、神様のお働きの中でお役に立たせていただけるのだ、という自覚を持つことが大切です。
ヘルパーさんの、「ありがとうございました。またお願いします」との言葉には、「あなたのお世話をさせてもらえて、ありがとうございました。またお役に立たせてください。お願いします」という思いが隠されていたのかもしれません。できることの一つひとつにお礼を込め、人のお役に立ち、人が喜ぶ生き方をしていきたいものです。