●ででっぼぽう
ででっぼぽう
お正月の鏡餅が食べきれなかったので、あられにしようと庭に干していたら、ハトが食べに来るようになりました。以前から時々物干しに止まっていた小さい山バトで、「ででっぼぽう」とうれしそうに鳴いています。
ヒョコヒョコと歩く姿を見ていると、歩き方がいつもと違うことに気がつきました。よく見ると、片方の足は指が一本だけで、もう一方も二本しか残っていません。寒さの厳しい時に、この足ではエサを取るのも不自由だろうと可哀想に思い、しばらくパンを与えることにしました。
それからというもの、小さい体に似合わず立派な翼を広げ、力強い羽音を響かせながら、朝夕庭に入ってきます。そのうち私は、夕ご飯をお皿に入れて出すことにしました。足が足ですから、お皿のフチにつかまって食べていても、バランスを崩して落ちてしまうこともあります。そんなハトなので、北風の吹く中、高いアンテナのてっぺんに止まっている時などはヒヤヒヤです。でもそこでは決してグラついたりはしないのです。
やがて春になり雨が続き、ハトの夕ご飯を軒下へ入れておくことが多くなりました。ある朝、お皿に足型の血が付いているのを発見しました。その日、雨上がりに洗濯物を干していると、ハトがやって来て竿に止まります。足の傷がどうなっているのかが心配でじっと観察しましたが、普段と変わった様子もありません。間近で見ると、多少体の羽毛が乱れているものの、しっぽも羽根も地味な色合いながら、つややかにふっくらと生命の輝きに溢れているのです。
少々血が流れても、足が動く限りヒョコヒョコと歩き、翼が羽ばたく限り空を飛ぶ。そんな小さなハトを見ていると、難儀をもろともせず、与えられたいのちを精一杯ありのままに生きる力を与えられたような気がしました。
「ででっぼぽう」、今日もその鳴き声が庭から聞こえてきます。