● 「最近の若いやつは…」と言うけれど
「最近の若いやつは…」と言うけれど
私は、五十歳を目前に一念発起し、鍼灸マッサージ師を養成する学校に入学しました。同級生はほとんど、わが子と同じ年代です。
入学して一年目、私は、「若い子に負けてはいけない」と思い、彼らの何倍も勉強しました。しかし、なかなか新しいことが覚えられず、いくらがんばってもかないません。二年目になると、若い人たちに教えてもらわなければならなくなり、悔しい思いをしていました。そうしたことが続くうち、だんだんと、「負けるものか」から「教えてもらおう、ついていこう」というように私の気持ちが変わっていったのです。
すると、周りの人たちもそれを感じたのか、「りょうちゃん、りょうちゃん」とニックネームで呼んでくれるようになり、中には、恋愛相談まで持ち込んでくれる子もでてきました。私は、若い人たちの考えや思いに直にふれることができ、それが楽しくてたまらなくなったのです。
そんなある日、鍼の治療院を開業するために貯めてきた資金の一部を、盗まれてしまいました。私はさすがに落ち込み、学校でも肩を落としていると、「りょうちゃんどうしたの?」と同級生の一人が声をかけてくれました。事情を話すと、その子はみんなに呼びかけて、カンパを募ってくれました。ある人は、小銭がいっぱい入った袋を持ってきて、「これを使ってくれ」と言うのです。それは明らかに、小さいころから、こつこつと貯めてきたお金でした。「これはもらえないよ」と断りましたが、それでも「これを使って」と言って手渡してくれました。私は涙が出ました。
「最近の若いやつは…」とよく言いますが、果たしてそうでしょうか。私は、一緒に勉強してみて、世代を越えて理解しあっていくことの大切さをつくづく感じました。世代を越えて分かりあえる。それはとても有意義なことだと思います。