●どろんこ園芸係
どろんこ園芸係
小学五年生になる息子は、春からクラスの園芸係になりました。園芸係の仕事は、土作りから収穫までと、小学生にしては、かなり本格的なものです。給食の残飯で肥料を作り、それを使って花を育てたり、野菜を作ったりするのです。
園芸係になった頃は、肥料の匂いがきつく、力仕事ばかりで、息子は弱音を吐いていました。しかし、蒔いた種から芽が出たり、苗が成長すると、だんだん楽しくなってきたのでしょう、授業が終わるとすぐに畑へ行き、夕方六時頃まで頑張ってくるようになりました。毎日、汗はびっしょりで、運動靴はどろんこです。しかし、生き生きとした表情で、花や野菜の話をしてくれます。
「せっかく花の芽が出たんだけど、この頃、雨が降らないから、ぼく、土曜日に水をやりに行くんだ」と言い、友達と水やりに行くこともありました。また、ある時は、
「植えた苗より、草のほうがすぐ大きくなって、草取りをしないといけないから」と、草を体中につけて帰って来たこともありました。
そして、夏休み前、春から育ててきた野菜をハンカチに包んで帰ってきました。「このトマト、ぼくが育てたんだ」。自慢げにみんなに見せた後、洗ってお皿にのせ、神様に手を合わせました。
「ありがとうございます」
この一言に、一生懸命取り組んできたこと、そして、天地へのお礼の気持ちが込められているようでした。
その後、みんなに少しずつ食べてもらい、「おいしいよ」と言ってもらえたことで喜びがいっそうに増しました。
「二学期も園芸係になろうかな?」。息子は、次への新たな挑戦に胸を膨らませていました。