●包み込む温かさ
包み込む温かさ
私は、大学生活の四年間、あこがれの東京で過ごすことになり、金光教の教会に下宿させていただきました。その時、教会の先生にたいへんお世話になりました。
親元を離れ、東京での生活は、慣れないことばかりでしたが、先生は、本当に親身になって私に接してくださいました。
例えば、朝寝坊をして、食事をとらずに出掛けようとすると、かならず「体に悪いから一口でも食べて行きなさい!」と声を掛けてくださいました。でも、当時の私は、どこか窮屈に感じてしまうこともありました。
そんなある時、「夕食の七時までには帰っていらっしゃい」と言われていたのですが、何の連絡もせず夕食に遅れるということがありました。その時、先生は、家族の方と食事をとらずに、私の帰りを待っていてくださったのです。そして、「さあ、いただきましょう!」と言って、いつもと変わぬ夕食の時間を過ごしました。まさか待っていてくださるとは思ってもいませんでしたし、叱られることもありませんでしたので、かえって心が痛んだものでした。
そして、窮屈に思っていたのは私自身の心がけの問題であり、先生にとっては、どこまでも私を気遣い、自分の娘同様に思いをかけてくださっていたのだと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
現在、三人の子どもを持つ母親になった私ですが、とかく子どもたちには「あれをしなさい」「これをしなさい」と口うるさく言うことが多く、そのたびに子どもたちから反発されています。
先生はあまり多くを語る方ではありませんでしたが、その中にも優しさをもって、いつも温かく包み込んでくださっていた姿勢に、家庭教育にとっての大切なところを教えてくださっていたように思います。