●つかの間の入院生活
つかの間の入院生活
四月になり新学期が始まるというある日、私は突然夜中に激しい腹痛を感じ、救急病院に運ばれました。CTやエコーなどの検査をしても痛みの原因が特定できません。手術をしなければ手遅れになる恐れもあり、予断を許さないという医師の説明を受けて、緊急入院することになりました。
私の病室は二人部屋で、隣のベッドには古田さんという方が入院しておられました。七十八才の古田さんは酸素マスクを付け、栄養もすべて点滴でとり、寝たきりの状態です。時々、呼吸が困難になり、とても苦しまれることがあります。入院当初は、そんな古田さんの状態に気づきながらも、自分のお腹の痛みと病気の原因がわからない不安感で頭がいっぱいであった私でしたが、それがたび重なるうちに、自分のお腹の痛みや不安を忘れる程、真剣になって古田さんのことを願っている自分がそこにいたのです。
金光教祖は、「自分のことは次にして、人の助かることを先にお願いせよ。そうすると、自分のことは神がよいようにしてくださる」とのみ教えを残してくださっています。
もちろん、その時はにこの教えを実践しようと思って、古田さんのことをお願いしていたわけではありません。しかし、古田さんのことを祈ることによって、私自身の心も神様に向くようになり、その結果、神様が守ってくださると信じることで、いつの間にか不安がなくなり、どんな検査も受けていく勇気が湧いてきたのです。 二週間後、私は無事退院し、今では元気に大学に通っています。この、つかの間の入院生活を通して、改めて人の助かりを願うことの大切さを感じるとともに、そのことを気づかせてくれた古田さんの回復を今も祈り続けています。