●相手の思いに立って
相手の思いに立って
先日、満員の通勤電車の中に、赤ん坊を抱いた母親が乗ってきました。電車が発車してしばらくすると赤ん坊はぐずりだし、やがて泣き出してしまいました。母親がいくらあやしても、赤ん坊は泣きやみません。その時、赤ん坊とたまたま目があった私は、赤ん坊に笑いかけました。すると、赤ん坊は不思議なものを見るように私の顔をながめ、やがて泣きやんだのです。
そんな時、昔の私なら、不機嫌な顔で母親をにらみつけたことでしょう。「こんな窮屈な電車に赤ん坊を乗せたら泣き出すのはわかっているのだから、早く電車から降りたらいいのに。少しは周りの迷惑を考えてもらいたい」と母親を責める気持ちになっていたと思います
しかし、私にも子供ができ、赤ん坊が夜泣きをしたり、機嫌が悪くて泣きやまない経験をしてみると、この中の親子を責める気にはなれません。「どこか具合でも悪いんだろうか。母親も事情があるだろうに、肩身の狭い思いをしているんじゃないか」と、母親や赤ん坊を気遣う気持ちが生まれてきました。早く泣きやんでほしいと祈るような気持ちになってきたのです。以前の私は自分中心で、他人を気遣うという気持ちが欠けていたと思います。
私達は、日頃いろいろな人と関わり合って生活していますが、ともすれば自分が快適で楽になることを第一に考え、相手の思いに立って考えようとしません。しかし、それでは相手の悪いところばかりが目についてお互いにいがみ合うだけで、人といい関係を作ることはできません。そんなとき、ちょっと相手を気遣う、心のゆとりが私達一人一人に必要ではないでしょうか。