●知らず知らずの過ち
知らず知らずの過ち
浜松に住む友人の家に初めて車で遊びに行ったときのことです。地図を頼りに何とか目的地の近くまでは辿り着いたのですが、行ったことのない土地でしたので、そこから先が分かりませんでした。あっちでもない、こっちでもないとグルグル車で探し回りましたが、どうしても見つかりません。仕方がないので、道行く人に聞いてみることにしました。
ちょうどそのとき、民家から出てきた年輩の女性がいましたので、車の窓を開けて顔を出し、「すいません…」と道を尋ねました。これでやっとたどり着くかも知れないと思っていますと、彼女から返ってきたのは、
「車から降りずに道を聞いたって、教えてやらない」
という言葉でした。そして、彼女はそのまま不機嫌な顔で自転車に乗り、走り去ってしまったのです。
それは私の心に「グサッ」と刺さりました。正直、「けちな人だな」と一瞬思いましたが、もっともな一言でした。
もし、私が車を降りて尋ねていたなら、彼女は気分を損ねることはなかったでしょう。いまさらながらに、礼儀をつくさなかった自分が悔やまれました。
厳しい言葉と感じた反面で、彼女が正直に不愉快であるということを態度で示してくれたおかげで、私は自分の足らなかったところに気づくことができました。もし、彼女がはっきりと言ってくれなかったら、私は自分の過ちに気づかず、また同じことを繰り返していたかもしれません。
知らず知らずのうちに人を不愉快にさせるのではなく、お互いが喜び合えるように、礼を尽くして日々過ごしたいものです。